ウェルキャブ福祉車両 パワーシート修理

A社のウェルキャブ福祉車両の「パワシートが動かなくなった」と修理依頼を受けました。
左側のセカンドシートが全く動きません。

滅多に入る修理ではないので、まずは回路図をファイネスから取り入れることから始めました。

やたらモータが多くついており、リミットスイッチ、リレーも数多く付いておりこれは長期戦になるなと感じました。
まずはフェイルセーフのリセットを行うとシートは一定の場所まで動き止まります。

パワーリフトのコントロールリレーの端子を1個1個当たっていきます。
何度もリセットを行い各モーターの入力電圧を「オシロスコープ」で測定しました。
すると動きが止まった時に昇降用モータ(回路図の右上)に入るA2の端子が12v➡0vに
落ちることが判明しました。

モーターにかかる電源はセンサーが異常検知したからECUがモーターにかかる電源を止めてストップし、その後フェイルセーフに入ったわけです。
安全性を考慮してか手動操作で室内までシートは戻せますが、再び動かなくなります。
リセットして動かすと再び不具合箇所で止まります。
モーター自体の不良か過負荷検知でモータが動かなるのだろうかと仮説を立て”B18端子”にオシロを当ててみました。下がその時の波形です。

パルス波形の左端が少しおかしく、この波形が出た瞬間シートは止まりました。
アクチュエーターの場合、ほぼ単体で異常検知ができないので監視するセンサーが組み込まれています。


昇降モータの過負荷が原因だろうということで昇降モータの脱着作業にかかりました。

白いものが「昇降モーター」になります   モーターに負荷がかかった原因はモーターの取り付け部のゴムのマウントでした               

ウォームギヤを潤滑しているグリスがマウントに付着し、長年たってゴムをブヨブヨにしてました。

シートが回転して外側にかかりかけた時にシートに荷重がかかるためモーターとウォームギヤが一体となって激しく動き、過負荷になったのではと考えられます。
モーターASSY交換なら部品代で¥70,000超えるため、自作でスペーサーを作り組み付けて試運転しました。

結果は良好でした。
費用も比較的安価に抑えられ、お客様をさほどお待たせしなかったことが良かったと思います。